松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルAirPods Proで大変なことが起きそうだ (2/3)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年11月07日 09時00分

●ノイズキャンセリング初体験の反応?

 さて、AirPods Proはノイズキャンセリングヘッドフォンです。周囲の音を拾って分析し、これを打ち消す音をヘッドフォンのドライバーで鳴らすことでノイズを取り去ります。

 中低音の成分を打ち消す音を出力していることで、音楽の中低音のパワフルさに欠けるという印象を持ったのですが、これは仕組み上仕方がないと思いました。

 ノイズキャンセリングの性能は実用的に十分優れたものだと思います。

 それを裏付けるのが、外部音取り込みモードに切り替えたとき。外部の音がフェードインしてくると、まるで自分の耳で聞いているかのようなクリアさで、遅延なく外の音が伝わってきます。一度処理されたオーディオが「クリアで遅延がない」ことは、打ち消す音を効果的に鳴らせていることを意味すると考えています。

 確かにノイズキャンセリングの能力は優れています。アップルがヘッドフォン向けに独自開発したH1チップとソフトウェア、昨今の評価すべきオーディオ処理技術により、最初の製品でいきなりトップクラスの性能を叩き出してきたポテンシャルには脱帽です。

 しかしユーザーの反応を見ていると、そもそもノイズキャンセリング自体が初体験、という人も多そうだ、と思いました。ノイズが消えること自体に感動している人が多かったからで、AirPods Proのヒットはノイズキャンセリング体験人口を大幅に増やす可能性を感じました。

 これも重要なことで、初めて触れるノイズキャンセリング製品がAirPods Proの品質になってしまうと、大変なことが起きます。前述の通り、こうした評価は体験による相対的なもので、ソニーやボーズ辺りは良いかもしれませんが、それ以外のメーカーは安い製品を出しても性能が悪いと評価されてしまうからです。

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