「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」発表! グーグル独自CPUに、ソフトウェアが超強力なカメラ

Pixel 6に現れたグーグルの戦略、カメラとデザインに大きな変化 (2/2)

文●石川 温 編集●飯島 恵里子/ASCII

2021年10月23日 10時00分

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 実は自社開発チップの機械学習によるコンピュテーショナル・フォトグラフィーで画質を上げてきたアップルも、iPhone 13シリーズでは、カメラ周りはかなりハードウェア的な進化させるというアプローチを行っている。

 iPhone 13 ProシリーズではこれまでのiPhoneで最大の1.9 μmピクセルを採用してきた。大きなセンサーにすることで、様々な光の条件でも早いシャッターを実現できる。また、超広角カメラも新しいレンズ設計とソフトウェアを組み合わせることで、iPhoneでこれまで不可能だったマクロ撮影を可能にした。

 すべてのモデルでセンサーシフト光学式手ぶれ補正(OIS)を搭載し、レンズではなくセンサーを安定されることで、写真はなめらか、動画はブレの無い状態での撮影が可能となった。

 iPhone 13シリーズは動画撮影時の「シネマティックモード」などは高度な機械学習アルゴリズムを使って実現しているが、一方で、撮影の基本となる部分では地道にセンサーやレンズ、手ぶれ補正機構などハードウェアを進化させて画質向上を図っているのだ。

 アップルやグーグルだけでなく、あらゆるスマホメーカーは、10年以上、カメラの画質競争を続けてきている。ここ最近は高性能なチップセットが搭載されたことでAIによる「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」が注目を浴びているが、やはりカメラの画質はまずはレンズやセンサーなどハードによる性能差が効いてくる。超広角から望遠まで幅広い画角を網羅するには、ペリスコープのように本体内でレンズを動かしてズームさせるのが理想だが、一方で、構造が大きくなってしまうため、スマートフォンの本体にきれいに収めるのは難しくなってくる。

 今年、シャープが「AQUOS R6」、ライカが「Leitz Phone 1」で、1インチのセンサーを載せてきたが、やはりデジカメ用のセンサーで1インチの大きさを採用すると、それなりに大きいため、レンズの構造を見直すといったアプローチがとられたが、どうしてもカメラ部分が出っ張るデザインとなってしまっていた。

 ハード的に魅力的なものを積めば、これまでのスマホでは実現し得なかった画質を手に入れられるものの、サイズ的には犠牲を払う必要が出てくる。一方、AIによるコンピュテーショナル・フォトグラフィーだけでは、画質面での限界がある。

 今後、スマートフォンのカメラは1インチのような大型センサーをコンパクトに収めるといったハード的なアプローチと、コンピュテーショナル・フォトグラフィーによるソフト的なアプローチをいかに融合してバランス良く美しい画質を手に入れるかの勝負となってきそうだ。

 

筆者紹介――石川 温

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。


 

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